ハンターハンターは過大評価

まずハンターハンターはテーマ性が薄く、物語りが何処に向かっているのか最終的な目的が曖昧でなのである。まあ一応序盤はジンフリークスというマクガフィンは存在するのだが、ゴンの行動原理に一貫性がなくはっきり言ってキャラ立ちしていないので動機付けの本気度が伝わらない。ストーリーが始まってすぐにハンター試験が始まるのは良いのだが、この試験がやたら長い。「ハンター」の具体が描かれないままだらだら続くため集中できないし受験者があっさり死ぬ反面、毎年受験できたりするっていう、ぬるいんだか何だかよくわからない。ハンターハンターではある種お約束だという修行も長く感じた。

おそらく作者のやりたいことが二転三転しているため試験だのGIだのキメラアントだの各章方向性も一貫していないように感じる。新キャラで後付的に問題を処理することが多いし(アルカとか)、ハンターハンターのキャラクターを使ってやるのにシナジーがあまりない。

クラピカの復讐は歴とした動機付けで話の推進力になっているのだが、幻影旅団に同情的な描写を入れたり復讐のカタルシスを削いでいる。ゴンとネフェルピトーの話にも言えることで、ピトーも例によってキャラクター性が一貫せず、コムギをなおす段になり急に対話可能なキャラになってしまう。そのためゴンの復讐という漫画的においしい展開なのにやはりカタルシスが損なわれてしまう。復讐ものでは徹底的に悪は悪として描いてほしい。それこそGIのゲンスルーはちゃんと悪役していたのにこいつには不殺主義でこれもゴンの行動原理の一貫しなさ、キャラ立ちしてなさである。キルアとヒソカは好き。

個人的には全体を通してガバガバな作品に思えたのだが設定が緻密とか深いとかこれより面白い作品はないとまでいう人がいたりするのがわからない。中高生の時に連載が開始したから思い入れがあるとか、能力バトルのパイオニアとしてすごいとかいう評価が順当である。まあ普通にはおもしろいと思うのだがネットでの評価は過剰なのではないかと思う。